◇ 寺沢憲重の10のラッキー名言 ◇      
:幸福だから笑うわけではない。 むしろ、笑っているから幸福になれるのだと言いたい。       
:笑いのあるところには活気もある。よく笑う人は不機嫌な顔をした人より長生きする。
:叶えるのが夢だけど、叶わなくても夢は夢さ、泣いて笑ってそれが人生、平凡がいい。
:人生いろ色あらァな、それを頑張って乗り越えたら喜びや楽しみが待ってるんやでぇ。
:人生に於いて全ての壁が、自分を高める壁だと前向きに思える人は壁を超えられる。
:ネガティブフィードバックの時こそ、得難い学びのチャンスそのものなのである。
:大切だと思うのは世に名を博した偉い人や大作家とはなるべく謦咳に接することである。
:たった百人の中の、私という自意識や誇りや自尊心や見栄や保身や奢りや愚かさの孤独。
:他人と比較するのは無意味だ理想の自分と比較せよ。何歳でも自分を変える努力をせよ。
:人生のターニングポイントの決断には。やり始める勇気とあきらめる勇気が必要である。 

2011年01月22日

三十光年の星たち:連載を終えて=宮本輝

三十光年の星たち:連載を終えて 

もがいても、三十年後めざす=宮本輝

「三十光年の星たち」を連載中、多くの読者から感想や励ましのお手紙を頂戴した。

この紙面を借りて、それらの方々に心から感謝申し上げる。

そのなかの七十八歳のご婦人は、手紙の最後を「私も三十年後の自分を楽しみにして、
これからを生きていきたい」と結んでいた。

粛然と衿(えり)をただす思いで、私はあらためて三十年という歳月について
考えをめぐらせ、自分もまた再び三十年後をめざすぞと決意を固めた。

七十八歳の人の三十年後は百八歳。私は九十三歳。科学的な常識では、
どちらも生きている可能性の極めて低い年齢である。

もし私がいま二十歳であったとしても、三十年のあいだには何が起こるかわからない。
重い病気に倒れるかもしれないし、不慮の事故や災害に巻き込まれるかもしれない。

 勤め先の倒産、事業の失敗、大切な人との別れ、Miyamoto-T 008.JPG
 自らの未熟さによるさまざまな恥ずかしい失態、
 順調なときの慢心、逆境のときの失意と落胆。
 永遠につづくかと思える谷底でのあがき。

三十年という歳月は、ひとりの人間に、じつに
さまざまな誘惑と労苦を与えつづけるのだ。

だからこそ、三十年前、ある人は私の作家として
のこれからの決意を聞くなり、お前の決意を
どう信じろというのか、三十年後の姿を見せろ、
と言ってくれたのだ。

その言葉は、以来、かたときも私の心から
消えたことはなかった。
じつにありがたい言葉であったと思う。

三十代半ばの若造の私に、そのような言葉を、一見、
冷たく突き放すかに言ってくれる人がいたのだ。

毎日新聞社から朝刊連載小説をとの話があったとき、私は「三十光年の星たち」という
題だけが浮かんだが、小説の具体的な形はどうしても創りあげることができなかった。

他にも連載小説をかかえていたし、小説家になってからすでに九回も
新聞小説を書いてきて疲れ切ってもいた。

これはもう自分の体がもたない。お断りしたほうがいい。
お引き受けしたらご迷惑をおかけするかもしれない。私は本気でそう考えた。

しかし、そんな私のなかで、三十年後の姿を見せろという言葉が大きく鳴り響いた。

書けないだと? それでも小説家か。三十年後の姿がそのざまか。

私は自分自身にそう言って「三十光年の星たち」を書き始めた。
ひとりの名もない頼りない、たいした学歴もない青年が、三十年後をめざして、
手探りでもがきながら、懸命に自分の人生を作り始める物語を、である。

人間には何らかの支えが必要だ。とりわけ若い人は、有形無形の支えを得て、
難破船とならずに嵐をくぐり抜ける時期が必ずある。

だが、いまのこのけちくさい世の中は、若者という苗木に対してあまりにも冷淡で、
わずかな添え木すら惜しんでいるかに見える。

私は「三十光年の星たち」で、その苗木と添え木を書いたつもりである。

連載中は、多くの人たちのお世話になった。ここでそれぞれのお名前を
列記できないが、深く感謝の意を捧(ささ)げさせていただく。とりわけ、
挿し絵を担当して下さった赤井稚佳さんの、いつもどこかに飄逸(ひょういつ)
さのある温かいイラストは、私自身が毎朝楽しませていただいた。
心よりお礼を申し上げる。 (みやもと・てる=作家)

    ◇    ◇

「三十光年の星たち」は2010年1月1日から12月31日まで連載。
単行本は3月、毎日新聞社から刊行される予定。

毎日新聞 2011年1月18日 東京夕刊 より引用


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